島原半島ぐるり半周、島鉄南目線最後の秋
今年の秋は2週間以上遅れているようです。例年なら10月中旬から紅葉シーズンなのでしょうが、今年は気配すらありません。さて、今回の目的は今年度末に一部廃止となる島原鉄道です。島原鉄道は諫早-加津佐間78.5kmを運行する私鉄ですが、このうち島原外港-加津佐間35.3kmの廃止が予定されています。この区間には普賢岳噴火で大きな被害を受け、平成9年に復旧した、島原外港-深江間が含まれていますが、わずか10年で廃止となってしまいました。本来なら、全区間の乗車が基本なのでしょうが、諸般の事情によりいわゆる南線区間(南目線)を中心に乗車することとしました。
当初、キハ20系の南線運行が公表されている10月中を計画していたのですが、日程の都合が合わず11月になりました。往復1000円で乗れるのは魅力だったのですが、人も多いでしょうからね。ついでに観光トロッコ列車も組み込んでみました。
行程

    到着時刻 出発時刻    
11月10日 宮交シ   640 宮交 なんぷう
  熊交セ 941 955 産交  
  熊本港 1028 1110 熊本フェリー オーシャンアロー
  島原港 1140 1226 島鉄バス  
  島鉄雲仙 1309 1402 平成観光 乗合タクシー
  仁田峠 1420 1520 平成観光 乗合タクシー
  島鉄雲仙 1538 1605 島鉄バス  
  山の上(小浜) 1630      
11月11日 西登山口(小浜)   820 島鉄バス  
  加津佐 853 941 島鉄  
  原城 1001 1110 島鉄  
  島原 1211 1229 島鉄 トロッコ
  深江折返        
  島原外港 1320      
  島鉄タ   1800 西鉄 島原号
  博交セ 2110    

今回使うのは、九州の99%(発売元公表)のバスが3日間載り放題となるSunQパス(全九州 10000円)です。これは宮崎-福岡をフェニックス号で往復するだけでモトが取れてしまうという恐ろしいものです。同区間の往復割引が同額の10000円ですから、同パスを買っていれば福岡市内のバスも乗り放題になり、利便性も含めてかなり有利なのです。また今回のように行程が往復にならず割引が使えない場合などにも有効です。路線バスまで乗り放題ですから、今回は行程が比較的自由に組めます。路線バスの運賃も結構バカにならないものです。

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SUNQパス(全九州)です。北部九州(6000円)もあります。

1日目
宮交シティ-->熊本交通センター なんぷう号(宮交運行)
熊本行き始発は福岡行きより2時間ほど遅く6:40発です。最近、宮交シティには高速バス利用者用の駐車場が出来たので車でいけるようになりました。この時間はまだ路線バスは動いていないので、かなり利便性が上がりました。宮交シティを3割程度の乗車率で出発しました。
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・・・いつから休憩なくなったんでしょう?鹿児島行きでも休憩あるのに・・・。2時間程度ならともかく3時間以上かかる路線に途中休憩無しというのはちょっとつらいのですが・・・。

熊本交通センター-->熊本港 (産交バス)
熊本港は市内からかなり離れており、30分ほどかかります。また連絡バス・路線バスがありますが微妙に接続がずれており、利便性はいまいちです。かつては三角港からも島原外港行きが出ていましたが廃止になっています。三角港は三角駅前だったので便利だったのですが、熊本港以上に遠かったのがネックだったのでしょうか。2車線の快走路で埋立地にある熊本港に向かいます。

熊本港-->島原外港 オーシャンアロー(熊本フェリー)
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熊本フェリー
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九商フェリー
熊本港には島原行きが2社が就航しています。一方は熊本フェリー、こちらはSSTH(超細長双胴船)と呼ばれる高速フェリーが就航しており所要時間は約30分です。もう一方は九商フェリーの運航するものでこちらは60分かかりますが、若干運賃が安くなっています。また熊本フェリーと競合する便は割引が設定されており、最大4割引、約半分の便で20%引きになっています。今回はその高速フェリーに乗ってみたかったということもあり、熊本フェリーを利用します。しかしここ、フェリーターミナル以外何も無いです。
かなりの車が乗船待ちをしており、需要は大きいようです。ちょうどこの便は10分差で両社が運行している為か特に多かったようです。こういうときは徒歩乗船は気楽でいいですね。徒歩客は20人程度でしたので早々と座席を確保します。この船は1階席はリクライニングシート、2階席はソファーが用意されており気分に応じて選べます。また1階席前方にはスーパーシートなる有料席が用意されており、こちらは独立リクライニングシートになっていますが、あまり前面展望はよろしくありません。車両の乗船が始まると急に船内が混雑してきました。そういえば先日見た旅行の広告に島原方面のツアーが組まれていたような気がします。ほぼ満席となりオープンデッキに流れていきました。まあ、30分の航路ですから座れずとも何とかなる時間ではありますが、逆にいえば30分の航路なのにやたらに豪華な船内だとも言えるでしょう。
港外に出ると加速していくのがわかりますが、ほとんど横揺れもなく、揺れたのは島原発の同船がすれ違った際の引き波を超えたとき位です。揺れたといっても普段がまったく揺れないので、揺れを感じただけで、通常のフェリー程度の揺れがあった程度です。
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先に出航していた九商フェリーを追い越していきます。相対速度からして倍の速度は出ているようです。
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船内の売店にはグッズ等も販売されており、駅弁、空弁、速弁に次ぐ船弁も販売されています。

島原外港-->島鉄雲仙 (島鉄バス)
島原外港はバスターミナルも併設しており、発券窓口もあります。窓口をよく見てみるとまったく破損のないスタンドPOPにTDA(東亜国内航空)の文字が・・・。東亜国内からエアシステムに変わったのが88年ですから19年以上窓口にあったことになりますが、物持ちがいいですな。ターミナルには観光案内所、土産物屋も併設されていますが、乗客のほとんどは車での乗船だったためか、人影はまばらでした。
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以前、この雲仙経由諫早行きの路線は長崎県営バスと島鉄バスのダブルトラッキング路線で、県営バスはトイレ付きの車両がくることもありました。残念ながら現在は撤退しており雲仙-長崎間に臨時が3便走るのみです。水無川を渡り、山にかかると九十九折でぐんぐん高度を上げていき、それにつれ少しづつ紅葉の気配が見え隠れしてきます。島鉄雲仙営業所はちょうど地獄谷の入口にありすぐに雲仙の雰囲気が堪能できます。観光の前に地獄そうめんとちゃんぽん、温泉卵で腹ごしらえ。適当に入った割にはまあまあでした。次の乗り継ぎまで少し時間があるので、少し地獄谷を歩いてみます。
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歩道の下も本来ならこのように沸いているのだろうと思うと結構無気味です。
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温泉熱でぬくもっておられるぬこさま

島鉄雲仙-->仁田峠(平成観光タクシー(乗合))
以前は島鉄のバスが走っていたこの路線ですが、今は乗合タクシー化しています。よって運賃は別払い。30分前までに予約が必要ですので、外港での待ち時間の際に予約しておきました。ジャンボタクシーみたいなのを想像していたのですが、ちゃんと行き先表示がされたマイクロバスです。仁田峠に上る道は一方通行の循環道路になっており、通行料金も普通車770円と少し高めです。走ってみれば高めな理由も想像できますが・・・(維持管理費のかかりそうな山道が延々続きます)
幸か不幸か、ベストシーズンの週末のためこの道路が2時間半待ちの大渋滞。一方通行のため仁田峠の駐車場が空かないと進めないのです。途中第2展望台まではスムーズに来ましたが、ここからがなかなか進みません。なんか歩いたほうが速い感じです。
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観測用にこんなのもあったりします。
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右;第2展望台から普賢岳方面
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予定より40分(15:00)遅れで到着です。乗合タクシーは駐車場で1時間待ってくれますので、(ロープウェイを使えば)展望台まで行って帰ってこれます。徒歩では(多分)無理です。本来は15:20に折返し発のこの便ですが、1時間待機のため16:00発になります。到着後すでに待っている一団がおり、雲仙16:00発のバスに乗らなければいけないらしいのです、おそらく歩いてきて、帰りだけ乗る予定だったのでしょう。路線バス時代なら時刻表どおりの運行だったのかもしれませんが、それではこちらのほうが困るわけで・・・。
後で調べてみれば池ノ原駐車場というところからは仁田峠までなれた人ならば30分ほどらしいので、ピーク期などは渋滞に巻き込まれるより、歩いたほうがましかもしれません。

仁田峠駅-->妙見岳山頂駅-->仁田峠駅 (雲仙ロープウェイ)
時間もないのでロープウェイを使います。雲仙ロープウェイのHPでは辿れませんが、他サイトから割引券のページへのリンクがありますのでご利用の方は探してみてください。断崖を見ながら山を登っていく為、傾斜はかなりきつい印象があります。ちなみに下りだけなら徒歩20分程度らしいです。
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頂上につく頃には急激に霧が立ち込め、下界の様子はまったくわからなくなってしまいました。とりあえず展望台まであがってみましたが、残念ながらまったく状況は同じです。霧の合間から撮った分ですが、紅葉は始まっているものの少し早かったかなという印象です。山の天気は変わりやすいので、午前中のほうがいいかもしれませんね。お約束のコイン双眼鏡もありますが、覗いている人はほとんどいません。

仁田峠-->島鉄雲仙 (平成観光タクシー(乗合))
戻ってきてみても駐車場待ちの列はまだ続いています。ロープウェイで見た人数からすると車が多いような気がしますが、一部は登山者のものかもしれません。仁田峠駅にも小さな売店がありますが、主な売店は駐車場側になります。出店も出ており、寒々とアイスなんかをなんかを食べてみたりしてみます。
計画では16時のバスで小浜に下る予定でしたが1便遅れて17時台のバスになりました。また少し時間が空いたので、先ほど途中までしかまわっていなかった地獄谷をもう一度まわります。

雲仙お山の情報館-->山の上(小浜) (島鉄バス)
今日の宿泊は小浜温泉グランビューうおみです。ここは長崎市の保養施設ですが一般開放もしています。安価で評判もよく、休前日アップがないのが助かります。ただ布団は自分で敷かなければなりませんので、上げ膳据え膳を期待される方は他をどうぞ。
料理も1500円から3000円又は季節メニューを選べますが、3000円は結構ハードでした。多分これで足りないという人は10人に1人居ないでしょう。また日本酒200円、ソフトドリンク100円という安さで、飲み放題設定(生ビール450円も可)1500円もあるという、「保養」施設です。(何の保養なんだか) 朝食も妥当な範囲ですので「当たり」な宿だと思います。
唯一難点をいうとすれば、露天風呂が狭いという点だと思いますが、他の小浜温泉の宿が海岸沿いにあるのに比べ、少し高台にあるのでロケーションでカバーしています。
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2日目
西登山口(小浜)-->加津佐駅前 (島鉄バス)
温泉街まで降りてバスを待ちます。この近辺は物産館などもあるので時間があれば歩いてみたいのですが、今回はパスです。温泉街の雰囲気がよく出ていていいところです。バスは半島を半周して加津佐に向かいます。出発前にガイドマップを見ていたとき、この海岸線に「!」標識(その他の注意)がやたらについていたので何事かと身構えていたのですが、海岸線ぎりぎりを走るこの区間は、落石、高波どちらの被害も受けやすくその注意だったのかもしれません。乗客は乗下車を繰り返すものの、常に10人程度の乗車があり加津佐に到着です。口之津まで行って島鉄を折り返し乗車をしようかとも思ったのですが、乗り継ぎがあまり余裕がなかったのでここで下車します。
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加津佐-->原城 (島鉄)
9:14折返し列車の到着です。それなりに同業者がありましたが予想の範囲内です。車両はキハ2500型、この車両の兄弟車キハ125がJRにもいますが、こちらは当初からトイレが設置されています。(JRは2003年に改造)ちなみにキハ125のほうは豊肥線でオーバーヒートで止まってしまったという情けない経歴がある。まあ、豊肥線はキハ185もよくやってましたが・・・。
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車内は固定セミクロスシート、トイレの扉が進行方向に向いてついているので若干狭さを感じます。乗客は10人程度です。途中区間には制限15もあり(そこまでしなくてもと思うのですが・・・)条件はあまりよくないようです。 原城到着。なぜが対向からキハ20系が・・・。南線運行は今月はなかったはずなのですが、1000円で乗れるのが来月というだけで運行はしていたのですね。次の乗車列車はその列車の折返しなので期待大です。
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原城・・・どこにあるんでしょう。まったく案内も何もありません。通りすがり、農作業中の方に聞いてやっと到着です。ガイドマップには徒歩15分とありますが、それ自体が大きいので、早足でやっと入口にたどり着くくらいです。(観光協会さん、案内くらい何とかしてください。帰りも迷いました)
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左;白浜海水浴場

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左;原城址から 右;その途中にある川

原城-->島原外港 (島鉄)
予測どおりキハ20系です。いわゆる3本ヒゲ旧島鉄カラーです。車内はオールクロスシートで、岩泉線のキハ20と違いドアは自動化されています。これが、来月だったら記念乗車でさらにごった返したんでしょうね。それでも次々と乗車があり満席になりました。島鉄バスは大型車での運行が多いようですが、バスの容量では結構大変かもしれません。時間帯にもよるのでしょうが、学生用フリー切符(スクール1000)の利用がかなり多いようでした。あとで知ったのですが島鉄の乗車券は途中下車可なのですね。加津佐から通しで買っとけばよかった・・・。
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ツーマン運転でしたので思いがけず車内補充券も入手。1両のツーマン運転というのも最近あまり見なくなってきています。
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島原外港-->深江-->島原 (島鉄トロッコ)
後発の便にしたかったのですが満席でした。トロッコの予約は島原駅で管理しており、外港駅で発券して貰う場合は、島原駅に電話して台帳を見てもらう形のようですので、少し時間がかかります。団体も含めほとんどが島原からの乗車なので、このような形なのかもしれません。
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乗り心地は・・・トロッコですので決してよいものではありませんね。キハ20と2500型にトロッコが2両挟まれており、車内はテーブルと向かい合わせにベンチが設置されています。この便はほとんどの乗客が弁当持込でした。トロッコはほとんど満席なのですが、気動車部分はほとんど乗車がありません。トロッコあってのトロッコ列車ですから仕方ないでしょう。列車には解説を担当する乗務員が同乗しており、噴火時の様子や周辺の案内をしていただけます。外港乗車客もいるのですから、本題は外港出発後にしてくれてもいいような気もするのですが、すでに解説が始まっており、微妙に話しについていけない・・・。
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外港からだとほんのわずかな時間で深江についてしまいますので、長く乗りたい方は島原からどうぞ。ただ単純往復ですから、効率を考えれば外港からでも十分です。深江は若干駅を通り過ぎてエンド切り替えをします。ちなみに深江で降りてもかまいません。(ここで降りる慰安旅行団体もありました。)
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南島原
島原に到着するとすでに次の団体が待っています。トロッコ列車はツアーに組み込まれることが多いので、定期便よりも臨時便の方が取りやすいようです。(臨時便だと曜日で日程を変えないとならなくなるから)それでもやっぱり気動車はがら空きでした。  PB110329_R.jpg PB110327_R.jpg PB110331_R.jpg PB110327_R.jpg 後日見てみると、トロッコ列車の追加運転が出ていました。しかも運転区間が島原-加津佐間往復。飛びつきそうなツアー(実際予約開始1日で満席)ですが、運転日は12/9。しかもふきっさらしのトロッコに往復3時間以上だなんて、よっぽどじゃないと耐えられないような気がします。さて参加者の運命はいかに。

島原市内
島原駅は島原城の正面です。まずは島原名物具雑煮で昼食です。名前の通り具のたくさん入った雑煮です。ガイドブックにも載っている有名店だったため行列が絶えません。なかなか出汁が効いていてうまいです。島原城を見物したり、かんざらしを食してみたりしながら、ちょっと観光っぽいことをしてみます。
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島鉄バスセンターまで歩きバスを待ちますが、時間があったので本社前駅まで行ってみます。島鉄は硬券が普通に使われており、スタンパーで無く鋏も現役です。やはり硬券を切る音はいい音です。
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島鉄本社前
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島鉄バスセンター

島原バスセンタ-->博多駅交通センター 島原号(西鉄運行)
島原から福岡方面は何パターンかあります。もちろん島鉄で諫早に行きJRに乗り換えるルートもあります。最速は島原外港-大牟田間の高速船を使い西鉄に乗り換えるルートですが、乗り換えなしでいけるのは高速バスだけです。1日3便という制約はありますが、時間さえ合えば便利です。ただ車内サービスは簡略化されており、サービスコーナーはあるもののお茶、コーヒーなどのサービスは省略されています。また島鉄運行便は4列シートというはなしも。今回はSunQパスを使うので高速バスです。以前高速船ルートを使ったことはあるのですが、有明湾には珍しく波が高かった日のせいか、縦揺れが激しくとてもじゃないが乗っていられなかったという記憶があります。

3日目
博多駅交通センタ-->宮交シティ フェニックス号(宮交運行)
久々に市内をうろつき帰りました。
今回は観光も適当に織り交ぜつつ、日程を組んでみました。宮崎からは長崎は比較的行きにくいところであるのですが、バスを自由に使えるSUNQパスはかなり有用でした。JRではちょっと組めなかったルートです。ただ島原のみの観光であれば熊本往復と島原半島遊湯券など島鉄のフリー切符を使うという手もありますのでその辺りは臨機応変に。


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