たまには豪華にグリーンで四国山地アトラクションツアー

JR四国はネット掲示板はサービスがないとか、個性がないとか「JR死国」とか散々けなされているようです。

たしかに、路線数が少ない、車販がない、移動時間がバスに負ける、いろいろ問題点が出てくるようですが、

本四備讃線を初め予讃線の向井原〜伊予大洲間と肱川、予土線四万十川流域、土讃線の大歩危、小歩危

付近など、景勝ポイントが各地にあります。まあ、それを全て回るには四国を半周しなければいけないという

ばらつき具合なのですが・・・。それでも四国はフリーきっぷに力を入れており、なかなか面白いきっぷが色々

とあります。たとえば四国再発見きっぷ、18きっぷの四国限定版で週末しかつかえないものの、1日あたり

1100円とお買い得。ただ5(回)日分も使えるのは、四国住人か複数人数で行動するとき位のような気がしま

すが、通年発売なので四国ののり潰しには半分捨てるくらいでも使えるでしょう。

今回使ったのは四国フリーきっぷ群の中でも異常な割引率を誇るバースデイきっぷです。誕生月の人を同行

する場合3人まで1人10,000円で3日間”グリーン車"乗り放題+土佐くろしお鉄道全線乗り放題という破格の

値段設定です。四国島内(梅田のワープでも)のみの発売なのですが、「夢四国」というJR四国のネット通販

で購入可能ですので、(カード決済できないのは面倒) 入手性は事前購入必須なのにエリア内のみの発売

というJR東のフリーきっぷ群(土日きっぷなど)に比べればよいといえます。 

ただ、よっぽどの季節で無ければ、四国島内に入ってからでも、(児島はゾーン内ではあるけれども西の駅な

ので駄目)指定を取るのに問題はないと思います。(ほとんどの列車でグリーン車乗客は自分らだけという状

態でした)

初めに書いた通り、四国は観光対象が分散しているため、乗りつぶし目的でなければ、移動がかなりのウェ

イトをしめます。今回は計画を高松(讃岐うどん)、本四備讃線(瀬戸大橋トロッコ)、高知(カツオ)、大歩危峡

琴平に絞り行程を組みました。

日付 駅名 到着時刻 発車時刻 列車名 備考
1日目鹿児島AP
1000JAC3681

高松AP1135
連絡バス

高松
1431


宇多津14531457瀬戸大橋トロッコ4号

児島15261559マリンライナー41号

坂出16151618


宇多津16231628南風17号

高知1831


2日目高知
901南風8号

阿波池田10051100四国交通定期観光

阿波池田16201606南風20号←乗れてしまった

琴平1623


3日目琴平
1048南風5号

阿波池田11111116剣山6号

徳島12271319


鳴門14101426市営バス

小鳴門橋1436



高速鳴門
1455阿波EXP18号

大阪1658



大阪AP
1850JAC2410


高知に一旦出るのは行程に無駄のように見えますが、結果的には時間のロスは少なくなっています。

今回のコンセプトはアトラクションツアーです。四国交通の観光バスはボンネットバスですし、高速鳴門、

大阪間の阿波EXP18号は、西日本JRバス担当のダブルデッカー(青春ドリームの間合い運用)の便を

選択しています。(本当は三宮から伊丹行きに乗り継いだ方が安い上に早い。)

また鹿児島、高松間JAC3681は通常はSAAB340Bでの運用ですが、この時期、機材の大型化という

ことでYS-11に変更になっています。2006年の引退が決まっている同機体ですが、乗る機会がなかな

か無かったのでこれを選択しました。バースデー割引という選択をしたいところですが、この区間は割引

設定がことごとく無いため、早割21を選択しました。また伊丹、鹿児島間もあえてDHC-8 400の便を選

択し、新旧乗り比べをしてみます。

きっぷ

今回使用するバースデイきっぷは、四国管内のみの取扱ですので通販をします。一般的な通信販売と

同じです。指定券は注文確認時まで追加が可能ですが、四国以外では指定券の発行は出来ないよう

です。(北海道フリーはできたんだけどなぁ・・・) 銀行振込後、誕生月を証明する書類を送る(FAX可)

と、送料無料で送ってきます。

高速バスのほうは前方の席を指定したかったので、「発車オーライねっと」は使用せずみどりの窓口で

の購入にします。(オーライねっと、MARS、運行各社でそれぞれ発券できる席が違う・・・らしい)

このあたり唯一の「いつもの」みどりの窓口に購入に行ったのですが、いつものようにトラブル発生。

「高速鳴門(淡)」を選択すると、画面上にはなぜか旧名称の「鳴門撫養」が表示される。しかも到着を

「大阪駅桜橋口」にせず、「大阪駅」を指定していたためNG。結局発券に30分という最高記録を樹立し

てしまった次第です。

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飛行機の方はオンライン決済で済ませています。YS-11は「好きな人でも」うるさいと評判の前方1列目

を指定しています。

1日目

当日の鹿児島空港は空の日関連イベントが行われていました。JACは格納庫の見学会等を行っていた

ようですが、今回はそこまでの時間が無いためパスします。JAC3681便は12番搭乗口からバス利用と

なります。(逆にYSでボーディングブリッジを使うことってきるのか?)

最前席はちょっと首をねじればプロペラが見れる位置です。ちなみに2列目がプロペラの真横になります

ので、景色との両立は1列目がオススメです。音は・・・確かにうるさめですが、新型のDHC-8 400は静

粛性を売りにしていますが、以前、同機のプロペラ真横に座ったときと比べ、音量はさして差がないよう

に感じました。あえて言うならDHC-8 400はYS-11に比べ高周波成分が多く (YS-11は腹の底に響く

ような音) 人によってはDHC-8 400の方が不快な音に聞こえるかもしれません。飛行も安定しており、

ふらつきは感じません。鈍重とは言いませんがどっしりとした飛行で安心感があります。欠点といえば

本当に「帽子置き」にしかならない大きさのハットラック・・・何を置けというのでしょうか。

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機体はJA8759 だいせつ 1970.12.09製造

団体が入っていたようで8割以上の搭乗率でした。マイナー路線と思いきや、なかなか需要はあるよう

です。最後にポストカードをもらい降機しました。

高松空港から市内までは40分の道のりです。渋滞等は無くスムーズに到着しました。

とりあえず、うどんを食します。セルフ店2点はしごをしましたが、堅さより粘りを感じる麺、てんぷら類

は量、値段、味ともに満足でした。

高松駅は行き止まり構造で、全方面が同じ向きに発車します。瀬戸大橋トロッコに乗車するため多度

津に向かいます。接続4分で列車はやってきました。安全上の点からトロッコ車両への乗車は、この多

度津から次の児島までとなり、それ以外の区間は施錠されており、併結のキハ185に乗車します。

この車両の特色はトロッコというのもあるのですが、床にガラス窓があることです。橋上ではそこから

海面が見えます。線形が良い上、貨車ベースのトロッコで無いため、ゆれも少なく安定した走行です。

夕日が沈む時間には早いのですが、瀬戸内海の景色を堪能出来ました。



児島から折り返し高知に向かいます。直接、南風17号を待ってもいいのですが、芸が無いので坂出

までマリンライナーのパノラマグリーンに乗車します。

(パノラマグリーンは列車名を「マリン・パノラマ」にしないと出てきません。「マリンライナー」では2階

グリーン席が割り当てられます。)

パノラマといっても運転席直後のかぶりつき席です。デッキ部分につけた席ですので、かなり目立つ

席ともいえます。ただ、橋の上は前方展望に限れば景色は単調なので、かえって2階席の方が展望

は良いのではないでしょうか?

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マリンライナーは高松に向かうため坂出で乗り換えます。再び多度津に戻り南風17号を待ちます。

対面ホームにはアンパンマン列車仕様の2000系が止まっており、切り離し作業を行っていました。

さすがにこの長さだとこの列車は目立ちます。

2100-s.jpg 8000-1.jpg

南風17号の到着です。乗車してみると先客が・・・よく切符を見てみるとなぜか、そこには南風19号

の指定券が・・・。車掌に事情を話し振り替えてもらいます。2000系のグリーン車は3列ハイバックリ

クライニングシートです。前方展望は九州の783系と同等ですが、車端にデッキがあるため少し展望

が悪くなります。それでも座るなら最前列でしょう。九州のようなグリーン車サービスはありませんが、

アレは九州と北海道が異常なだけともいえますので・・・。

しかし、ガラガラです。琴平までは4名ほど乗車があったのですが、その後は完全に貸切になりまし

た。一方の指定席はかなりの乗車率ですので閑散さは際立ちます。四国の場合、都市間移動の

鉄道のシェアの問題もありますが、ほぼフリーきっぷ専用と化しているようです。

2000-1.jpg 2000-2.jpg

南風17号は中村行きですが、高知でほぼ乗客が入れ替わります。見たところ通勤通学利用も、か

なりのウエイトを占めているようです。今日の目的地高知に到着しました。

高知といえばカツオのたたきと鯨です。カツオを目の前で藁で焼いてもらいちょっと感激です。


"土電"こと土佐電気鉄道

2日目

今日は阿波池田に向かい、大歩危峡を観光した後こんぴら参りです。高知901発南風8号で出発で

す。車両は南風では珍しいN2000系のため、グリーン車非連結です。が、昨日の2000系に比べ乗

り心地は最悪の部類に近い。単にグリーン、普通の差でなはく、軽量化の影響か、四国山地に向

かってほぼフル加速の連続となる土讃線では、車両の固有振動が座席を伝わって響き、その状態

での振り子動作ははっきり言って「酔ってくれ」といっているようなものだ。気動車特急としてこの勾

配でこの速度というのはかなり健闘しているといえるのですが、問題はこの乗り心地でしょう。

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左;土佐北川(橋上駅)を通過

阿波池田は土讃線と徳島線の分岐駅で、大歩危峡、祖谷峡観光の拠点となります。駅前商店街

は”立派な”アーケード街でその中を大型バスが通過するという奇妙な光景が拝めます。四国交通

の事務所は駅を出て右の観光協会の隣です。車庫はここから少し行った線路沿いになります。



左;阿波池田構内、右;ゆうゆうアンパンマンカー連結の剣山

この定期観光バスは「秘境の小便小僧号」という、けったいな名前です。この観光コースにもある祖

谷峡の小便小僧像からとっているようです。看板バスの名前ならもっとマシなのに・・・とも思うので

すが、今になっても一発で思い出されることを考えると、「記憶には」残る名前であることは間違いあ

りません。 (これを書いている今、すでに1ヶ月経っています・・・)

バスは定員36(正シート26、補助席7、運転席1)と小型ですが、何しろここから先行くところが狭小

に次ぐ狭小区間ですから、これ以上大型のバスは通行できないといった方が正しいのかもしれませ

ん。会費は5200円(大人)ですが、同区間のバス運賃、観光船、各種入場料を考えれば、ちょうど

そのくらいの値段になりますので、定期観光バスとしてはかなり「お買い得」な部類といえるでしょう。



阿波池田はちょうど盆地 (というか谷底) に位置していますので、出発後急坂を上ります。途中、か

んぽの宿阿波池田で2名拾い満員となって大歩危峡に向かいます。名物の大歩危峡の川下りは、

約30分で往復するコースです。(下り15分、上り15分) 朝の便は雨天による増水のため運休となっ

ていたようですが、この時までには再開されていました。そのため水量があり、かなり迫力のあるも

のとなっていました。ここはかなりの水位までなるらしく、船着場に至る長い階段が完全に水没した

写真が飾られていました。

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ここで昼食になります。(内容は写真のみノーコメント) 食後に「なると金時」のアイスを購入。芋の

  味が濃くうまい。

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午後一番目の観光は石の博物館ラピス大歩危です。所謂宝石といわれる類の(原石)ものから、岩

石はたまた尿道結石など、石と名のつくものの博物館です。何か一部には放射線が出てそうなもの

までありましたが・・・。展示では岩石を組成式で書いてありましたが、長すぎて読みにくい・・・って

わざわざ読む物好きもいないか。

次は平家屋敷に向かいます。展示内容としては、歴民の展示を古道具屋のように並べた、というと

ひどく聞こえますが、展示物はなんとなく親近感があり、懐かしさを感じさせるものです。
(しかし、納屋の「近づくと警報がなることがありますが、気になさらないでください」という張り紙はワラタ)
入口はかなりの急坂となっています。どこからか「こんぴら並にきつい」との声が聞こえてきましたが

それは嘘だ・・・断言します。)

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平家屋敷を出ると更に山奥に進み、このコースの最大の見せ場、かずら橋に到着します。さすがに

このあたりから道は細くなりますが、宿泊施設が集中しているため、逆に人や車は増えてきます。

パワー不足のためか小刻みな変速を繰り返し、ゆっくりと進んで行きました。

かずら橋は800年前平家一族がこの地にやってきたとき、「いつでも切り落とせるように」とシラクチ

カズラで作られた橋です。さすがに現在ではカズラ100%ではなく3cm位のケーブルに支えられてお

り、主塔もかなり太い(生きた)木ですのでまず落ちる心配はなさそうです。それでも床板(棒?)に

は15cm位の隙間があり、しっかり足を掛けないと、特に雨の日はすべる恐れがあります。

(昔は30cmくらいの隙間があったらしい。)

あまり荷物は持たずに渡ることをお勧めします。橋の上での写真撮影は無理ではありませんが、

混んでいると後ろがつっかえます。手すりを持たずにどうぞ(笑

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最後は祖谷の小便岩に向かいます。ある意味ここからがボンネットバスの本領発揮かも?1.3車線

程度ですが、小型といえどもバスですから道幅いっぱいを使いせわしなくハンドル切りながら走りま

す。(パワステなんか付いてないでしょうし・・・)対向車なんてめったにこないのでしょうが、普通車

同士での離合でも(行き違い;離合って九州しかわからないってホント?)気を使う道です。左下は

100m以上はある断崖ですが景色は絶景です。ピークを少し超えたところに小便岩はあり、崖下を

望むように小便小僧像が立っています。ここで昔度胸試しで立小便をしたそうです。落ちれば確実

に死ねますが、足場は安定しているようなので、風が無ければまあ大丈夫?かも知れません。

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山道を下り阿波池田に戻ります。到着は予定より30分早く、予定していた便より1本前の南風で

琴平に向かいました。残念な点といえば、ほとんどの案内がテープに頼っていたところでしょうか。

せっかく添乗されているのですから肉声案内の方が印象はかなり違うと思われます。

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左;JR琴平駅、右;琴電琴平駅

こんぴらさん参りは翌日の予定だったのですが、早く着いたため予定を変更し、宿に荷物を預けた

後、その足で登ることにしました。宿が100段目くらいにありますので、本堂まで残り600段余り。

幸いにも翌日の筋肉痛に悩まされることも無く上りきりました。着いたのがちょうど夕暮れに差し掛

かるころでした。この日の午前中は平成の大遷座祭関係の行事があったようですが、この時間は

参拝客も少なくひっそりしていました。

3日目

最終日は帰るだけといえばそこまでなのですが、ただそれだけでは面白くないので、少し変則的な

ルートにしてみました。再び阿波池田まで戻り、徳島線で徳島に向かいます。徳島線は「よしの川

ブルーライン」という愛称がありますが、上流域の観光の後ではそこまでのインパクトはないと思わ

れます。剣山は185系の2両ですが車内は閑散としていました。指定席の数は16席というある意味

グリーン席並みの規模ですが、この状態ではあっても無くても同じような気がします。

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徳島では昼食と最後の土産を調達し、鳴門線で鳴門に向かいます。距離は近いのですが鳴門線に

入る池谷までの4駅がえらく遠い。各駅5分単位で待ち合わせであり、始発時間を調整しろと言いた

くなる状態でした。鳴門からは市営バスで小鳴門橋(又は競艇場前)に向かいます。

高速鳴門のバス停は発券所、観光案内施設等が近年整備され、かなり便利になったようです。

以前不評だったバス停までの長い坂にはモノレール(?)が設置され(片道1分半)何のストレスも

ありません。神戸、大阪と利便性もよく、利用者は多い様でした。無料駐車場があるため、市内から

車でここまで来て利用する方も多いそうです。

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内部にはエレベーターのような操作版があり自動運転です。結構ふらつきながら進むので、不安な方は歩いてどうぞ。

最後の最後での誤算はバスが車両変更で通常のハイデッカー車に変わっていたこと。車内は定員

が減った分、満席であり、補助席を使っても飛び込みは積み残しになってしまいました。鳴門大橋

ではちょっとは期待していたのですが、残念ながら潮の時間が合わず渦潮は拝めませんでした。

大阪市内は混雑はしていたものの、ほぼ定刻で大阪駅に到着しました。伊丹までは今回は阪急を

使います。(梅田からなら阪急の方が少し安いか・・・バスは当てにならんし)

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帰りの便は比較対照ということで(安かったというのも理由ですが)DHC-8 400型(Q400)を選びま

した。YS-11と比較してみればQ400の座席って軽自動車のようだ・・・軽量化は解るのですが、どう

しても内装は安っぽく見えてしまいます。また、静粛性が高いとは言いますが、YSがコンパクトカー

が全開にして走っている音とすれば、Q400はまるで原付がフルスロットルで走っているような音に

聞こえます。プどうも自分としては振動を含め好きになれそうにありません。

ほぼ定刻に鹿児島空港に到着し、今回の旅行は終わりました。

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