たまにはバスで、減り行くJRバスを追って。

今回は若干目先を変えてバスを追ってみました。目的は今年3月九州で大幅廃止となったJR九州バスです。

とは言いましても、今回の廃止対象すべてを制覇するのは不可能ですので、宮崎、小林間の宮林線、筑豊本線

の福丸、筑前日吉を結ぶ筑前日吉線と筑前山崎を結ぶ筑前山崎線を対象にしました。



宮林線



宮林線は吉都線小林と日豊本線宮崎を結んでいますが、この路線はバス停の位置は若干違うものの、全線

宮崎交通と競合しており、便数も宮崎交通の方が上回っています。宮崎内のJRバス路線はすでに宮林線のみ

となっていますから、今回の廃止は仕方ないところかもしれません。

今回せっかくバスの取材ですからアプローチまで含めて全線バスでの走覇を考えていたのですが、アプローチ

線も含め休日は大幅減便となっており、今回は断念しました。そのため以下のような行程となっております。



大口バスセンター →(南国交通)→ 栗野 →(はやとの風)→ 吉松 →(吉都線)→ 小林 →(JR九州バス 宮林線)→宮崎

大口バスセンターは旧山野線、旧宮之城線の大口駅のすぐそばにあります。建物は大きいですが、出札業務

等は行われておらず、4畳半程度の待合室があるのみです。車庫も兼ねており裏の広場には数台が止まって

いました。





大口バスセンター

出発1分前にどこからともなく現れた運転手により栗野行きは出発しました。出発時の乗客は自分を入れて2人

休日減便ということはほとんどが通学利用なのでしょう。(沿線に伊佐農業高校がある)

大口バスセンターを右に折れ出発すると市街地を抜け国道268号を東に向かいます。大口のはずれから旧道

に折れ、菱刈市街地に向かいます。旧菱刈駅の方にはよらずそのまま市街地を抜けます。乗客の入れ替りが

ありましたが、この辺りは市街地といえども道幅が狭く、乗降でバスが止まると、車の流れが止まってしまいま

す。まあ、交通量自体はそんなに無いので大きな問題はないのですが・・・。



左;菱刈市街地への分岐点 右;丘を越え菱刈市街地に入る



菱刈市街

このあたりから左手には再び旧山野線の線路跡が見えてきます。菱刈中学校の先の信号を左に折れ湯田温

泉に向かいます。



左;山野線跡 右;湯之尾温泉から国道268号に復帰

旧湯之尾温泉駅は若干、温泉街から外れています。駅跡は特産品販売所になっており、駐車場が確保され休憩

所にもなっています。(ただ、この駐車場はとても入りにくい)2名ほど乗客を拾い、さらに栗野を目指します。

右手にはサイクリングロードとなった旧山野線跡を見ながら走ります。結局全線を通じての平均乗車人数は

2.5名ほどでした。



左;湯之尾温泉駅 右;山野線跡サイクリングロード



左;栗野市街地への分岐 右;栗野市街地 栗野駅は市街地の中心にあるため、国道からはかなり入り込みます。この3月からは初めて特急停車駅となり

1日2往復「はやとの風」が停車します。しかしこの列車の停車駅、ほとんどがマルス非設置。それも嘉例川は

無人駅ときた。おまけに特急はワンマン運転(但し客室乗務員は乗務)ある意味最強の特急列車かも・・・。

しかし、時刻表をよく見ると「はやとの風」は季節列車扱い。これはいつやめても大丈夫なように・・・ということ

ですか・・・。





栗野駅

次の普通列車でも乗継は同じなのですが、興味があったので吉松まで特急券300円を購入し「はやとの風」に

乗って見ることにしました。「はやとの風」はキハ40改造車とキハ47改造車の2両編成ですので、運転台が3つ

という中途半端な構成です。(中間運転台は客室乗務員の控室として使用されています。)車内は改造され

新車のようですが、運転台はそのままで車両の老朽具合の一端が見て取れます。しかしながらキハ40側には

物販スペースもあり2両編成の特急にはもったいないほどの充実振りです。乗車定員には難がありますが、

仕方ないところでしょう。







はやとの風;客室乗務員も2名乗車しており車内精算、車販業務をこなしていました。

吉松駅ではイベントが行われており臨時の周遊バスが運行され、屋台も出されていました。もつ煮込み200円

もつ塩焼き100円と採算度外視の設定はかなりの客を集めていました。このイベントも特急到着に合わせて

行われていたようですが、どうも周知が足らなかったようで、ほとんどが人吉行きの「いさぶろう・しんぺい」

に流れていきました。そちらとの連携も考えた設定が必要だったと思えます。

「いさぶろう・しんぺい」は従来のキハ31改造のお座敷風列車とキハ40の改造車の2両編成で運行されてい

ました。通常はキハ40改造車のみで指定を取らない場合フリースペースのみの着席となるようです。





壁には液晶ディスプレイが設置されており、運転席からの風景が楽しめるようになっています。

吉松駅は以前より駅弁販売がありました。これは特急非停車の地方交通線には珍しいものでした。駅前の

食堂が製造し、ホームでも販売されています。ホームの方が売り切れていたので直接店のほうで購入。

ご飯のあったかい駅弁というのも初めてでした。







吉松駅名物汽笛まんじゅう

吉都線都城行きは乗客2名で出発しました。それでも少しづつ各駅で拾っていたため小林到着時には10名

程度になっていました。



JRバス小林駅は駅前ロータリーにバス停があります。以前は駅でバスの乗車券販売を行っていたようです

が、現在は中止されています。駅を出て左には車庫があり、敷地内に事務所があります。

30分前から早々とバスは到着したものの、車止めをして運転士は去っていきました。








出発時には5名ほどの乗車がありましたが、ほとんど小林市街地のはずれで降車してしまいました。この後

乗車がおらず、車内ガラガラのまま進みます。JRバスは宮崎交通が経由しない「ゆーぱるのじり」(道の駅)

に乗り入れます。温泉施設もあるので乗車を期待しましたが、ここでも乗車は無く車内は相変わらず。



左;小林駅出発、右;小林から野尻に向かう



左;ゆーぱるのじり、右;野尻停留所

その後、幾度か1,2人の乗降をくりかえし進んでいきます。それでも野尻町内を過ぎるころにはとうとう1人

となってしまいました。この間運転士の方としばらく話していました。ここも毎週末マニアさまの出没している

ようでした。



国道10号線に合流した先から右に折れ高岡町内に入ります。

日向高岡はかつては有人でしたが、現在無人となっており駅舎も待合室程度となっています。ロータリーを

1周しそのまま出発します。ここから先は大淀川沿いを走ります。



左;日向高岡駅、右;高岡の先、宮崎自動車道の高架下をパスする。

宮崎自動車道をくぐると北バイパスに入り・・・らずに旧道を生目に入ります。



北バイパスに入らず、生目旧道に入る。

これを過ぎると市街地が見えてきます。本線は橘橋経由なのですが、こちらは本線なのに1日1本しかない

という状態です。宮崎大橋を渡り橘通り3丁目交差点を過ぎれば宮崎駅到着です。







直方線

直方線は博多駅、直方駅を結ぶ本線と福丸、宮田町を中心とした支線があります。福丸、福間線を除く

(畑経由は廃止)福丸発着路線、宮田町、新飯塚線の千石を経由しないルートが廃止となります。

この地区は1週間に1度しかバスが来ない「四郎丸(工業団地)」をはじめ、週に1日しかバスが来ないバ

ス停がかなりあります。端から見れば存在意義を疑うようなところですが現実はどうなのでしょうか?

しかし計画を組んでいて気付いたのは、福丸を中心としたこの地区は、ほぼ同時刻に各方面行きのバス

が出発しており、逆に空き時間には一本もバスが来ないという状態です。ある意味効率の悪いダイヤと

いう気がするのですが・・・。

博多駅交通センター → 福丸 → 筑前日吉 → 福丸 → 筑前山崎 → 宮田町 → 鞍手駅前

直方行きは博多駅バスセンター3Fより出発します。3Fは主に高速バスが発着しますが、昭和バスなど

もここから出ます。(要は1Fは西鉄が占領している)直方線は、他の線区の廃止の為、比較的若い運転

士が多いといわれますが、この便は女性の運転士でした。

博多駅を出ると、バスが抜けるには少し狭い路地を走り、箱崎駅に向かいます。なぜかこの区間をショー

トカットする都市高速経由の方が廃止というのが解せないのですが・・・。箱崎駅は高架化直後のためか

周辺は空き地が多く、傍目から見ると工事中の未開業線のようにも見えます。



山の神をこえ山越えにかかる。



箱崎駅から先、少しづつ民家が減り、山の神を過ぎると峠越えにかかります。山の神行きの路線もあり

ますので、転回場が設置されています。峠を越えると橋を渡り、わたり終えたところを右に折れ、脇田

温泉の方に入ります。温泉街を出ると再び本道に戻りますが、まもなく福丸に到着します。

福丸は円形の独特なターミナルです。発着場は4箇所で方面ごとになっています。ただ、すべての行先

が記載されていない為、その場合やってくるバスを見ながら移動することになります。





筑前日吉行まで1時間ほど時間がありますので昼食にします。しかし見回しても食堂はなし。目の前に

あるものの夕方から(?)のようで、少し歩いたところにあったラーメン屋を発見。しかし入口の引き戸が

空かず・・・なぜ?4枚ある引き戸をすべて試したら1枚だけ空きました・・・ガラス戸だったから、中から

みれば何してるのかと思ったに違いない。(せめて入口を表示してくれ・・・)

四郎丸を撮影したかったので、行き方について情報収集・・・。事前情報でトヨタの工場の方ということ

だったので道順を聞いたところ「一本道ですし、そんなに時間はかかりませんよ。車でいかれますよね。」

「いえ徒歩です・・・。」「・・・え?1時間近くかかりますよ」

1時間くらいなら問題もないので計画どおり徒歩で探ることにしました。

ターミナルの隣にあるスーパーを物色しながら筑前日吉行きを待ちます。ターミナル内には発券窓口も

ありますが閉鎖されています。カーテン越しに中をのぞくと、券箱はそのままでしたが、荷物が散乱して

おり、閉鎖されてかなり時間が経っているのが窺われます。それでも窓ガラスに「国鉄バス」と埋め込ま

れていたのには歴史を感じました。

壁には改定後の時刻が掲示されておりましたが、改定後の時刻表は行先が大幅に減り、一つ一つの

欄がだだっ広くなっていました。しかし掲示には廃止路線の町営バスでの代替が予告されており、その

点は安心しました。

筑前日吉行きには方向幕が用意されていないようで、白地のままです。かわりに入口上に「筑前日吉」

と書かれた紙が挟まっていました。いかんせん発着場所がわからないため、バスがターミナルを廻るの

を追っかけていたら結局一周して元の場所に戻ってきました。乗客は他に2名でした。一部解説に「こん

なところをバスが走れるのかと疑うほど・・・」とあったのですが、それは出発後いきなりやってきました。

福丸を出てすぐの川を左に折れると、住宅の路地にしか見えない、自動車学校のクランクを思い出させ

る角を折れていきます。それも道は下りな為、50cmづつゆっくり降りていくような感じです。人がいれば

あんまり普通車でもとおりたくない道ですが・・・とどめを刺すように道で子供が遊んでします。どいても

らってやっと通過できました。



住宅地を過ぎると若干道は広くなります。途中にある醤油の醸造所に妙に風情を感じてしまうのは自分

だけでしょうか・・・。このバスはフリー乗降扱いだったようで、筑前下までに何も無い場所で2人とも降

りていきました。この先、山に入り力丸ダム方面に向かいます。



力丸ダムは大きなダム湖を形成しており、湖畔に廃業したホテルがあることを考えると、シーズンには

かなりの人出があったことを予想させます。バスは湖畔沿いをのぼり、ダムに注ぐ川沿いに日吉方面

に進んでいきました。結局その後の乗降は無く終点筑前日吉に到着しました。





ちょうどバス停は市境にあり、情報では渓流釣りをする人などの利用があるそうですが、ダイヤの関係

から朝(07:50福丸発)行って、昼(14:40筑前日吉発)で帰ってくるということしか出来ないのが難点です。

また運転士の方の話では昼(14:10福丸発)の便は普段は幼稚園保育園の下校での利用があるとの

ことです。



出発時刻まで誰も現れなかった為(周辺に人家が無いから当たり前か)乗客1名(自分か!?)のまま

出発しました・・・が結局誰も乗客は無く福丸に戻ってきました。ぬぬう。

筑前日吉行きダイヤ('04.3)

福丸  筑前日吉

07:50 →08:15 (土休運休)

08:45← 08:20 (土休運休)

14:10 →14:35 (休運休)

15:05← 14:45 (休運休)



次の筑前山崎線行きは16:38発ですが、先ほど仕入れた情報により「四郎丸(工業団地)」を探すこと

にします。一本道とのことなのでとにかくまっすぐ進みます。

筑前日吉行き発車前に撮影した筑前山崎行き




っておい、何だこの分岐!?高速道の下で道が分岐しています。路線図だとそろそろこのあたりで、

工業団地方面と分岐するはずです。ここは思い切って右に折れて進んでみます。



歩く・・・歩く・・・ある・・・しまった間違えたか?と思い始めたころ「工業団地」の表示が見えてきました。

少し安心して歩きつづけたのですが・・・再び分岐が。道を一本間違えたのか?なにかどんどんと泥

沼にはまって行っているような気がするのですが・・・。引き返し始めたところで救世主現る!

なぜか工業団地にもかかわらず歩行者発見!それは実はもう一本先の道でちょうど今いる所の横

にあるトヨタの工場を回り込んだ裏側にあるらしい、が時間はない。急いで目的地に向かい確保しま

した。



写真では見にくいですが、時刻表の左右は平日、休日であり、しかも行先は1つ。つまり休日に1便だけバスのくる停留所です。

あとは本道に戻るだけですが、位置関係がさっぱり判らなくなってしまいました。とにかくまっすぐ進む

しかないのでそのようにします・・・(;。;

バス停は発見したのですがなぜか西鉄。さらに探すもやはり西鉄。迷ったようです・・・。行先は宮田町

役場になっていますので、筑前山崎行きはあきらめます。

(後で調べて見ると、最後の道の選択を間違えたようで、逆に曲がればたどり着けたのですが・・・)

(しかし西鉄、路線案内図にまでJRバスを「競合路線」と記載しているあたりはいかがなものかと・・・。)

宮田町役場行きはJRバス宮田町の手前で左折するのでその手前で下車します。宮田町で待って

いると国鉄バス仕様車がやってきました。1両だけある復元車です。





最後のバス、鞍手駅前行きで鞍手駅に向かいます。最後に九州内未乗区間の香椎線を制覇し、未乗

区間は若松線のみとなりました。

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