雪国は痛かった!?北陸気動車紀行

また今年も「無性に雪が見たくなる症候群」に襲われる季節になりました。おととしの秋田、去年の長野と来て

今年はどこにしようかと地図を眺めていると、なぜか昔から行きたかった越美北線(九頭竜線)が目にとまりま

した。その周辺に目をやると七尾線、氷見線、城端線、富山港線と未制覇の路線が目に付きました。今年はこ

のあたりを回ってみようと決め計画に入りました。

1、どうしても繋がらない盲腸線

サブタイトルそのままです。今回の路線はすべてが盲腸線なのです。当初越美北線から長良川鉄道北濃に抜

け、そこからバスを乗り継いで富山県白川郷に抜けるルートを検討していました。しかしよくよく調べてみると、

冬季運休・・・ではなく昨年('02)の9月でバス路線が廃止されていました。いつか乗ってやろうと決めていた路線

だけにこれは痛い。そこでそのルート上にあった白川郷を第2の目的地に決定。城端線城端からバスではいる

ことにします。次に問題となったのが氷見線氷見から七尾線七尾への乗継です。この路線は、弘済会の時刻表

では繋がっていないように見えますが実際は脇で連絡しています。しかしこの路線、嫌がらせのように乗継が悪

い。実際ここを乗り継ぐ需要が無いのでしょうが、一番乗継がよくても40分待ち、悪いと2時間近く待つことになり

ます。特に休日は便数が減る為さらに悪化します。
(最終的には乗継可能な計画も出来たのですが、前日の行程が堪えたのであきらめました。)
今回は周遊きっぷを使いますのでこうなったらとことん使ってやろうという計画を組んでみました。よって氷見線、

七尾線は折返し乗車になりました。

1日目
出水 20:29発(なは)→姫路8:01着8:40発 →寺前9:24着9:28発 →和田山10:12着10:25発 →福知山11:00着

福知山11:47発 →綾部11:59着12:04発 →東舞鶴12:34着12:53発 →敦賀14:50着15:10発 →越前花堂15:59着

越前花堂16:45発 →九頭竜湖18:14着18:44発 →福井20:05着2043発 →金沢21:59着

金沢22:07発(サンダーバード45) →富山22:46着

2日目
富山8:01発 →岩瀬浜8:21着8:34発 →富山8:53着9:02発 →高岡9:21着10:04発 →氷見10:31着10:48発 →

高岡11:16着11:21発(サンダーバード24号)→金沢11:45着12:07発(しらさぎ3号)→和倉温泉13:03着 →(七尾バス)

七尾14:33発(はくたか15号)→金沢15:22着15:30発(JRバス)→福光16:34着17:22発 →城端17:30着

城端17:33発(加越能バス)→荻町神社前18:40着

3日目
荻町神社前7:05発(加越能バス)→城端8:20着8:27発 →高岡9:16着9:21発 →富山9:38着10:27発 →猪谷11:12着

猪谷11:23発 →高山12:36着13:09発(ワイドビューひだ10号)→下呂13:52着14:16発 →美濃大田15:40着15:41発→

岐阜16:12着16:29発 →米原17:18着17:39発(こだま423号)→新大阪18:19着18:28発(のぞみ21号)→博多20:49着

博多21:05発(有明49号)→佐敷23:16着23:21発 →出水23:59着

行程を組んでいるうちに間もなく電化される(3/15)小浜線のことが気になりましたのでついでに行程に組み入れて

みました。


2、きっぷ
今回は行程の都合上18きっぷを使うメリットが無い為、人出が増える前に実行することにし、切符は周遊きっぷ

にします。昨年から周遊ゾーンが減り、さらに使いにくさに拍車がかかりましたが、今回の「富山・高岡ゾーン」は

無事に残っていました。使いにくさに定評がありますが、18きっぷ期間外で往復割引設定区間で無い場合、旅程

の自由度から考えると選択肢としては十分考えられます。

越美北線は経路からはずれますので、別途購入します。あと、あまり予算が豊富ではないので、「なは」はレガー

トシートにします。



しかし、なはの指定券が出発前前日なのに「5A」ってどうゆうことだ?(1−4はレディースシートのため発券されない)

3、、出発
仕事をテキトーに切り上げ「なは」で出発します。切符購入時に予想した通り乗客ほとんど無し。(一人いましたが、

水俣までの短距離利用でした。)少しうとうとすると熊本でした。熊本からはかなりの乗車がありましたが、その多く

は最終代わりの利用のようでした。しかし疑問なのは1−4番までのレディースシート、別に仕切りがあるわけでも

なし。実際車内発券でも1−4番までを含めて発券されていたようですのでどうなっているのでしょう?
この高速バス仕様の座席はどうも苦手なのですががんばって寝ます。



4、1日目
今日は播但線、舞鶴線、小浜線を経由して、越美北線により富山を目指します。例によって金沢までは全線普通

列車(というか特急の設定ないし・・・)出発前に姫路駅で朝食。「えきそば」なる、うどんの出汁に中華麺を浮かべ

た微妙なものですが、自分的にはどうもいまいち・・・。

播但線は寺前で乗り換えになりますが全区間を通して高い乗車率でした。そのまま豊岡のほうに流れていきまし

たので何かしらイベントでもあったのでしょうか?


播但線は途中寺前までとその先の日本海側とで表情を大きく変えます。また寺前からは非電化区間となりキハ40が担当します。


和田山には煉瓦造りの機関庫が残っています。(但し線路は撤去)、右は北近畿タンゴ鉄道の車両。

播但線は、周辺ベットタウンとの住民の輸送と、日本海側へのバイパスという2つの役割があります。乗車するま

ではダイヤを見ても前者が中心と思っていましたが、後者の役割もかなりあるようです。和田山、福知山、綾部と

細切れに乗継き(しかも乗継が悪い)小浜線東舞鶴に向かいます。東舞鶴は高架化され、架線も張られていまし
                                                                                                                          (あたりまえか)
た。


小浜線キハ28、58編成。


小浜線は若狭湾沿いに走っていますが、線路が海の近くを走るのはわずかしかありません。

車両は九州ではなかなか見られなくなったキハ58、28の2両編成。気動車ラスト前の週末でさらにイベントも重

なり、8割方座席が埋まっていました。小浜線は平野部を進む比較的単調な路線で沿線にいくつかの町を抱えま

す。しかし電化するまでの需要があるか?問いに対しては最後まで疑問符がついていました。実際当日も一般の

乗客は半分という感じに見えました。やっぱ原発マネーなのか?と電化には悪い印象にしか感じませんでした。

敦賀では今度小浜線に入る新型電車125系が入っていました。イベントでの臨時運行のようです。車両はベーシッ

クな転換クロスシートでこれといった特徴はありません。



敦賀から福井行きに乗車し越前花堂へ向かいます。この駅は越美北線との分岐に位置しており越美北線と北陸

本線は別のホームになっています。


駅本屋は写真左下にあり、越美北線へは写真右下から連絡路が伸びています。

少し時間が空きましたので周辺を歩いていると福井鉄道の花堂駅がありました





越美北線は福井と九頭竜湖(和泉村)を結ぶ路線で、愛知の美濃太田から伸びる越美南線(長良川鉄道)とあわ

せて越美線を構成する路線です。(しかし両者をつなぐバスも廃止されてしまい、越美線は夢のまた夢)終点の九

頭竜湖と長良川鉄道の美濃白鳥を結ぶバスの途中には「大穴馬」「白馬洞」というバス停があり、その切符は競馬

ファンのお守り・・・という話もある。



谷間に沿って上っていくこの路線は、見せ場があるわけではないですが、非常にいい雰囲気を醸し出しています。

途中、越前大野と終点九頭竜湖の間はスタフ閉塞となっていますが、可部線と同様入替があるわけではないので、

スタフ閉塞で十分というわけです。

etu-tab.jpg
山を上るにつれ雪が目立ち始め終点につくころには雪が舞い始めていました。終点の九頭竜湖はPOSと思われ る端末が設置されており切符の購入も可能です。 夜の九頭竜湖駅では雪が舞い始めていました。ちなみに下段右が駅で購入可能なお守りきっぷ。 再び山を駆け下り、金沢に着くと急行能登と寝台特急北陸、日本海が停車中でしたので撮影。 今では貴重な489系ボンネット車で運転される急行能登。 5、2日目 今日は富山港線、氷見線、七尾線を回り白川郷に向かいます。まずは富山港線からスタートします。富山8:01発 岩瀬浜行きに乗車します。この沿線は主に住宅地で、またいくつかの工場と競輪場があり、通勤買物客、また競 輪場への輸送の役割が大きいようです。専用の富山駅では7,8番線、車両は3両編成の455系が充てられていま すが、この日は1割程度の乗車しか見られませんでした。 どう見ても怪しい分岐・・・このように貨物と思われる支線、廃線が数多くあります。 富山港線終点、岩瀬浜。以前はこのまままっすぐに富山港まで線路が伸びていた。 終点の岩瀬浜からは以前は富山港まで線路が伸びていましたが、今は路線に名前を残すのみです。 富山に戻り高岡までTB12号で戻り、氷見線へ入ります。高岡でも1番線を奥深く進んだ、専用のホームが割り当 てられています。氷見線はシーサイドラインと銘打っており海岸線の眺望が売りです。実際は海岸線沿いの区間 は短距離ですが、陸繋砂嘴(りっけいさし)の小型版などさまざまな風景を見ることが出来ます。 この路線沿線には学校も多く、通学、観光客でかなりの利用があり、1両のみの40系では輸送力不足の感があり ました。 終点氷見から七尾線七尾までは建設計画はありましたが、建設はされず、現在はバス輸送です。 一旦高岡まで戻り金沢から七尾線にしらさぎ6号和倉温泉行きで入ります。七尾線沿線はひたすら田園地帯を 走る単線路線です。金沢から終点和倉温泉までの所要時間は約一時間。終点和倉温泉から先はのと鉄道線 になりますが、実際は一つ前の七尾から運行されています。(七尾では和倉温泉までの切符はのと鉄道で購入 してくださいとありますが、この区間は七尾線のはず・・・なぜ?確かにこの区間JRの普通列車は無いけど・・・) のと鉄道は旧国鉄能登線を引き継いだ第3セクターで現在は蛸島まで運行を行っています。(穴水−輪島間は 平成13年に廃止) 左;のと鉄道(七尾駅)、右;特急しらさぎ(金沢駅)。特急しらさぎも今回のダイヤ改正で681系に置き換えになりますので見納めです。 終点の和倉温泉は、和倉温泉の中心から少し離れており、駅前には案内所、喫茶店、GS等があるだけです。 温泉街へはバスが連絡していますが、実際は特急到着時に旅館の送迎バスが列をなしている状態です。和倉 温泉駅は相対式ホームで2本しかないため、この駅が終着ですぐに折り返さない列車は、一旦七尾駅まで回送 しています。 駅前のバス停からバスで七尾駅に戻ります。 七尾駅を出たところからは、旧七尾港線が分岐していましたが、現在線路は構内を出てすぐで途切れています。 七尾からははくたか15号で戻ります。なぜか今回は681系3000番台(北越急行車)にお目にかかれず・・・。 七尾線は特急停車駅がほとんど無いため、681系の性能出ており、同区間の485系と比較して3分短縮されて います。 金沢から福光までJRバスでワープします。金沢駅東口から運行される同区間は、ちょうど金沢と福光の間を 鉄道線をショートカットする形で存在しており、所要時間を40分ほど短縮しています。福光駅は駅とコンビニ 但し金沢と途中森本駅の間は市街地を走行するため、ラッシュ時には大幅に所要時間は変動します。 (デイリーヤマザキ)が一緒になっており、また駅前のAコープが買い出しに非常に便利です。 白川郷へは福光、又は城端線の終着城端から加越能バスが運行しています。今回は城端まで列車で移動して 城端からバスに乗車します。城端での乗り継ぎ時間は3分ですが、バスは待ってくれていました。城端を時間ま で待って出発したバスは城端市街地を抜け、ヘアピンカーブを繰り返しながら急な坂道を駆け上っていきます。 除雪されず融雪まで通行止めの道や入口が埋まり使用不可な地下道など、山を上るにつれ確実に雪は増して いきます。乗客は城端で乗った後、一人また一人と数を減らしてゆき、経路半ばですでに自分ひとり、すでに真っ 暗になった道を轟音とともに終点荻町神社前を目指します。途中ぽっかりと入口を開けた高速道はさすがにしっ かりと除雪されていましたが、通行車両はあまり見えずゲートの照明は却ってさびしく見えました。 終点の荻町神社前に定刻に到着。あたりに人影は見当たらず、街頭のわずかな明かりのみ。安直に考えていま したがこれでは今夜の宿を探すのも一苦労しそうです。 「泊まるトコは解るの?」 「**さんですが」 「めずらしい自分を同じや、入口で降ろすから乗っていき」 運転手さんのありがたいお言葉で非常に助かりました。事実、入口は真っ暗で下手したら迷ったかも・・・って場所 でした。この運転手さんもここで泊まって明日の始発を運転して戻るようです。 山水で融けかけた半シャーベット状の道をのぼったところが今夜の宿でした。 明日も始発で戻ることになるので、夜のうちに散歩してみました。 神社がライトアップしていました。龍神の社もこんな感じでしょうか? 2005.12.31追記 後で知ったのですがこの神社は「ひぐらしのなく頃に」で出てくる古手神社のモデルだそうで・・・というか白川郷自体「ひぐらし・・・」のモデル・・・気付よ・・・ 銭湯が割引セール中(?)だったのでよってみました。 しかし!さすがというか南国生まれの南国育ちにきつかったのは朝。凍死するかと思いました。あまりの寒さで全 身の筋肉が硬直し筋肉痛が・・・。夜のうちにファンヒーターのタイマーを仕掛けておかなかったことを、ものすごく 後悔しました。 ついでに早朝散歩もしてみました。 6、3日目 7:05発高岡行き城端まで戻ります。平日のこの時間のバスは通学需要もあり、決して多くは無いものの安定した 乗車があるようです。実際、城端まで乗りとおす人が多く、唯一の生活路線として機能しているようです。 城端まで戻り城端線で高岡、富山まで戻ります。城端線はフラワーラインというキャッチフレーズもありますが、さ すがにこの時期は関係なし。雪の少し残る砺波平野をのんびりと走ります。 富山からは高山線で岐阜まで出ます。ちなみに高山線は今回('03春)の18きっぷのポスターになっています。猪谷 まではキハ120です。猪谷からは神岡鉄道線(第3セクター:旧国鉄神岡線))が分岐しています。神岡鉄道は猪谷 と奥飛騨温泉口を結ぶ19.9kmの路線で新穂高温泉や栃尾温泉への玄関口となっています。また、沿線の神岡鉱 山からの貨物輸送もこなしています。ちなみに終点の奥飛騨温泉口(旧、神岡)は昨年一躍有名になったスーパー カミオカンデのある町です。 ino1.jpg
猪谷からはキハ47,48の編成で高山まで。杉原で高山線最高所を越えます。この時期の高山線の面白いのは、真冬 から春先までの季節の遷移が見られることです。富山側から入り山を上るにつれ増えていった雪の量は、高山を過 ぎるころから再び減っていき、下呂のあたりではほとんど雪がなくなっています。 左;猪谷、高山間のキハ47,48。中;中継信号機も合掌造り・・・。(杉原) 高山からは時間の都合上特急ひだで下呂までワープしますが・・・ なんとここでトラブル発生。出発時計画していた乗り継ぎが間違えていたことが判明。 危なく帰れなくなるところでしたが、何とか危機をやり過ごしました。 美濃太田、岐阜で乗り継ぎ米原から新幹線。新大阪からは500系のぞみに初乗車します。普段ひかりしか使ってい ないので(というかレールスターばっかり狙っているので)、あの丸っこい車体はなかなか縁がありませんでした。 こんなアナウンスがあるのも初めて知りました。 「運転席からご案内します。まもなく当列車、最高速度の時速300kmで姫路駅を通過します。」 もうここまでなってくるとわたしには時速270kmと300kmの体感速度差はわかりません・・・。ただ時刻表を見る限りは 恐ろしく速いのでしょう。 でも、座席(レーススターは2&2シート)や値段を考えるとまだレールスターの方がいいかなぁ・・・。 そんなこんなで無事博多、佐敷と乗継ぎ、23:59出水着で今回の旅は終わりました。 今回も弁当にあまり縁が無かったのですが一つだけ・・・米原の「牛肉弁当」見栄えがイマイチ 鉄道関係に戻る mainに戻る